2021年度(令和3年度)AAI Visionary Award受賞者の紹介

永井幸政ながい ゆきまさ

永井幸政氏は、2019年4月に静岡大学創造科学技術大学院自然科学系教育部情報科学専攻博士後期課程に入学されました。Sub-1GHzと呼ばれる900MHz帯を使用したIoT向け無線通信方式に注目し、特にスマートメータ等で広く使用されるIEEE 802.15.4gと、今後国内への導入が見込まれるIEEE 802.11ahの異種無線通信システム間の相互干渉を緩和する技術の研究を進めております。その研究成果に関する国際標準化活動も主体的に進め、IEEE 802.19.3作業班の設立から同作業班の牽引を経て、2021年4月に規格化に成功したという実績を持ちます。

 複数のIoT無線通信システム間の共存問題を提起し、提案する共存メカニズムを用いたシミュレーション評価によって、干渉やパケット遅延を抑えつつ双方の公平性を担保できることを示した研究です。従来方式との親和性を確保しながら機械学習によって性能改善を行う新たなアクセス方式として、IEEE802国際標準化規格書に提案され、博士課程で取り組む提案手法を含む19件の寄書が主要なコントリビューターとしてIEEE 802.19.3規格書に採択されています。その他、多くの国内研究会、国際会議およびジャーナル論文で発表も進め、国際会議INFSOC IWIN 2020 Best Paper Award、情報処理学会 CDS研究会 2020年度 優秀発表賞、2020年度 静岡大学 創造科学技術大学院長賞、など数多くの表彰を受賞されています。

以上のように、同氏は情報通信分野において先進的・独創的な研究の開拓が期待できる人物です。