白鳥則郎君は、1977年に東北大学大学院(博士課程)を修了し、東北大学において情報通信に関わる教育・研究に携わって来られました。更に定年後は早稲田大学、中央大学からお招きいただき当該分野の多数の博士・修士の俊英を育成し国内外で活躍中の人材を輩出しています。
学会活動に関しては、1)情報処理学会では研究会主査、理事、副会長、会長を務め功績賞、名誉会員に推挙されています。2)人工知能学会では理事として活動されました。3)電子情報通信学会では人工知能、情報ネットワーク、通信ソフトウェアなど情報通信とAIに関わる3つの研究会の委員長を歴任し、業績賞、功績賞、名誉員に推挙。4)欧州のIFIPでは、日本代表を務められました。5)米国のIEEEでは、新しいシステム概念としてAI秘書、共生コンピューティング、やわらかいネットワークを提唱すると共に、情報通信にAIを導入し高度な情報システムの開発へ向けた研究を先導するパイオニアとしてIEEE Fellow、更にLife Fellowに推挙されております。また、IEEE Sendai Section Chair とIEEE Japan‐Council Vice‐Chairを歴任されました。更に、東日本大震災の折には「IEEE HTC 2013 in 仙台」を開催し、IEEE 現会長、前会長、次期会長が出席されるなど、共同主催者の一人として成功に導かれました。
研究活動では、1990年代に新しい情報システムの基本概念として、近年のサイバーフィジカル、メタバースの先駆けとなる共生コンピューティングの考え方を提唱されました。つぎに、これらに基づいた研究を推進し、特に政府系の研究プロジェクトとして、1)総務省:栗原グリーンプロジェクト「人の暮らしと自然が共生するICTシステムを構築するための地域実証」、2)日本学術振興会:未来開拓プロジェクト「やわらかいネットワークアーキテクチャ:動的ネットワーキング」など6件の産学連携プロジェクトを、代表者として成功裏に推進しました。さらに、国際標準化機関IETFにおいて、2件のMobile IPv6に関する標準化にも成功されました。これらの成果は学術分野だけでなく、社会的に広く注目されテレビ、新聞にも取り上げられました。
教育については、情報通信の講義と大学院生の研究指導、更に高度な人材育成へ向けて、リベラルアーツを念頭に置いた教科書の編纂と執筆に注力され、「未来へつなぐデジタルシリーズ」(39巻、共立出版社)を企画・編集し既に大学、高専の教科書として利活用されております。大学院生の研究指導については、指導教授・主査として20年間に情報通信分野の博士63名(課程博士45名、社会人・論文博士18名)の俊英を育成されました。
以上のように、同君が、高度な情報技術の研究・発展と高度な人材育成に尽くした貢献は、誠に顕著であります。