2019年度(令和元年度)水野忠則特別記念賞受賞者の紹介

牛島 和夫(うしじま かずお)

牛島和夫君は、東京大学大学院修士課程修了後、九州大学及び九州産業大学において、長年情報工学に関わる教育・研究に携わってこられました。

九州大学においては、大型計算機センター長、大学院システム情報科学研究院院長、情報処理学会においては、九州支部長、理事、監事、教育カリキュラム調査委員会委員長、アクレディテーション委員会委員長、その他理工系情報学科協議会会長など、情報通信に関わる要職を歴任されてこられました。情報処理学会からは、平成11 年度 「大学における情報処理専門教育体系の確立と普及・発展に貢献」により、功績賞を受賞され、平成15 年名誉会員に推挙されておられます。

同君の研究活動の動機は、新しい分野の確立には人材の養成が必須であるとして、研究活動も社会連携活動もほとんどが教育活動を端緒とするもの、その延長線上にあるものです。ソフトウェア開発支援環境の発想は学生のプログラミング演習を効率よく効果的に行うための工夫として行われました。日本語文章推敲支援ツール「推敲」の研究開発も学生諸君の書いてくる文章を添削して指導する手間の一部をコンピュータで肩代わりできないかという要求から生まれたものです。このソフトは文章中の問題となる箇所を素早く(数万字を数秒で)指摘して、論理的に曖昧さのない文章を作成する支援をするものです。卒業論文、修士論文、博士論文の指導に活用されたとのことです。なお、推敲については、総会時の特別講演において、実演を含めて紹介していただいております。また、博士の育成に関しては、56 名(論文博士32 名、課程博士24 名)の博士輩出に貢献されました。学位取得者は、教育界、産業界に羽ばたいておられます。

以上のように、同君高度な情報通信技術の研究・発展と、博士育成に尽くした貢献は、誠に顕著であります。