2020年度(令和2年度)AAI Visionary Award受賞者の紹介

加藤 新良太かとう あらた

加藤新良太君は、2013年に静岡大学工学部数理システム工学科入学後、同大学大学院総合科学技術研究科工学専攻修士課程、同大学院自然科学系教育部情報科学専攻博士課程に進学しました。2020年現在、同君は、博士課程の2年生として、無線ネットワークのエミュレーション、性能推定、Delay/Disruption Networkの設計に関する研究に取り組んでいます。

 学部生時からの一連の研究で同君が開発した仮想無線LANデバイスドライバは、従来の無線LANエミュレータで取扱が困難であった無線LANの物理的な環境変化を扱うことが可能であるうえ、実行条件の制約が極めて少ないという特徴を持ち、幅広く無線LAN応用技術の開発・評価に利用できる優れた技術です。同技術の実現には、無線LAN技術のみならずLinux OSの実装に関わる深い理解と、高い開発力が求められますが、同君は自身のソフトウェア開発経験と研究室、ならびに在学中に参加した海外インターンシップでの活動を通じて学んだ知識・技術を糧として同技術を実現させました。一連の研究成果は、多くの国内研究会およびシンポジウム発表、国際会議口頭発表・デモ発表およびジャーナル論文で発表されており、学部生時代の発表に対して贈られた電子情報通信学会知的環境とセンサネットワーク研究会若手研究奨励賞を皮切りに、情報処理学会DICOMO野口賞、DICOMO最優秀論文賞、情報処理学会論文誌ジャーナル特選論文等の数多くの表彰を受けています。 

 以上のように、同君は情報通信分野において先進的・独創的な研究の開拓が期待できる人物です。